ポイント解説

貸室賃貸借契約書


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(第1条)
貸室賃貸借といっても、特別な類型があるわけではなく、建物賃貸借であることに変わりはない。契約の中心となる内容は、賃貸目的物件の表示、使用目的、賃貸期間、賃料といった事項。
賃貸目的物件が建物の一部であることから、どの部分を貸したのかが明らかになるように具体的に記載する。必要があれば、図面を添付するのもよい。

(第2条)
使用目的を明確にしておく。

(第3条)
賃貸借期間は、2年または3年とすることが多い。

(第4条)
賃料の額、支払期日・場所・方法を明確にする。特約がなければ賃料は後払いとなる(民法第614条)。
契約期間中の増減請求は法第律で決められているが(借地借家法第32条)、確認しておく方がよい。

(第5条)
管理費、共益費を定めたときは、金額、支払期日・場所・方法を明確にしておくこと。

(第6条)
敷金を受領する場合は、敷金の金額、増額の有無、利息の有無、償却の方法、返還の時期などについて明確にしておく。

(第7条・第8条)
予想される費用については、誰が負担するのかをあらかじめ具体的に定めておく。賃借人が共同して負担するものについては、その負担額の決定方法、支払期日・場所・方法を明確にしておく。

(第9条)
賃借権の無断譲渡・転貸は禁止されているが(民法第612条)、「事前の書面による承諾を受けなければならない」とするためには特約が必要である。
家族以外の同居、造作・工作、使用目的の変更などにつき、事前の書面による承諾を必要とする特約もよく見られる。

(第10条)
解除事由を明確にしておくことも重要。解除するには、催告が必要だが(民法第541条)、催告なくして直ちに解除できるとする場合は特約が必要。

(第11条)
期間を定めた賃貸借の途中解約には特約が必要(民法第618条)。
賃貸人の解約には、正当事由がなくてはならない(借地借家法第28条)。

(第13条)
明渡しの方法・条件について明確にしておく。
造作買取請求権をあらかじめ放棄する特約は有効(借地借家法33条・第37条)。
残置物の取扱いも定めておく。

(第14条)
賃貸借終了後の使用損害金は、特約がなければ最終賃料が基準となる。

(第15条)
更新拒絶をするには、期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知をしなくてはならない(借地借家法第26条)。しかも、賃貸人の更新拒絶には、正当事由が必要である(借地借家法第28条)。
更新した場合に更新料を請求するには、特約が必要。

(第16条)
連帯保証人の責任は、賃料・管理費、敷金、負担金、損害金等の金銭債務全般にわたる。■(第18条)■
公正証書によって強制執行できるのは、賃料等の金銭債権だけで、明渡等の強制執行をするには、さらに判決等を待たねばならない。
強制執行認諾文言。