ポイント解説

継続的商品取引契約書

継続的商品取引契約書の内容は、契約締結の趣旨によっても異なってきますが、おもなものは以下のとおりです。
・目的物となる対象商品の明示
・個別契約の方式・条件
・引渡し・返品に関する事項
・代金の支払方法
・保証金など代金支払確保の方法
・期限の利益喪失・解除

<< 契約書作成ポイント >>

(第1条)
目的物となる対象商品の明示、多いときは目録等を利用する。

(第2条)
個別契約の内容、方式を定めておく。特約により簡便な方式を定められるとし、特約で電話による注文を認めることもある。

(第3条)
引渡しに関する基本的な事項を定めておく。特に商法では、目的物の検査および欠陥等があった際には、この通知を義務づけているが(商法第526条)、このように契約書に規定しておくことで品物の瑕疵(きず)に関するトラブルを防ぎ、相手方の注意を促すことにもなる。

(第4条)
返品に関しても、あらかじめ基本的な定めをしておくことは、トラブルの予防になる。

(第5条)
個別取引において、個別に決済するのではなく、一定期間の取引をまとめて決済する場合には、代金支払方法等を明確にしておく必要がある。手形による支払いを認めるときは、その支払期日猶予期間等を定めておく。

(第6条)
個別契約において、それぞれ債権確保の方法を定めるのは煩雑である。保証金の差入れ、根抵当権の設定、連帯保証人など、債権確保の定めをしておくことが重要になってくる。

(第7条)
個別契約の引渡しごとに現金決済をしないときには、期限の利益喪失条項を設けておく。法律で定められた期限の利益喪失事由は、破産宣告、担保の毀滅(壊しなくすこと)または減少、担保供与義務の不履行(民法第137条)。当然に期限の利益を失う点は特約。
期限の利益喪失事由は、契約を継続させていく財産的信用状況を失わせる点で、解除事由と一致する。無催告解除とする点が特約(民法第541条)。

(第8条)
商人間の取引で遅延損害金の定めがないときは、年6分(商法第514条)。

(第9条)
期間は定めなくてもよい。定めても、通常1年もしくは2年とし、自動継続とすることが多い。

(第10条)
期間を定めたときは、期間中の解約の可否、方法について定めておく。

(第12条)
紛争が生じた際、どこの裁判所で裁判するかは、現実には重要な問題である。

(第13条)
強制執行認諾文言付の公正証書がある場合には、裁判をすることなく差押えなどの強制執行ができる。