ポイント解説
品質苦情に対する「原因調査報告書」のポイント解説
風味異常には、「調味料の使用量を間違えた」「原料のバラツキ」「混合不十分」など「食味上の問題で健康には影響がないケース」と「腐敗・酸化によって品質が劣化した状況によって健康危害を起こす可能性のあるケース」に大別されます。どちらにしろ回収の必要があるケースもありえます。
明らかに腐敗というケースは、そのものだけなのか、同じ日に製造した他のものにも腐敗が見られるのか、単発か散発かによって対応が分かれます。散発・複数発生の場合は回収となります。
本来、酸味の感じられない製品で「酸っぱい」という苦情が寄せられた場合、微生物の増殖によるpHの低下が原因と考えられるでしょう。 「酸味が感じられるが、その他の異味・異臭はない」というケースでの代表的な微生物としては乳酸菌があります。加熱して食べる食品、温めて食べる食品では苦情の現品を送ってもらって微生物検査をしても、見かけ上の衛生状態は良好、という検査結果が出ることもあります。
ほとんどの微生物は熱に弱いので、食べる前(加熱前)の状態では微生物が繁殖して副産物を産生し、加熱により微生物は死滅し、副産物だけが残るという現象です。
こういう場合は、当該製品のpHを測り、正常品とのpHの差・低下と異味異臭の特徴から微生物の種類を類推して報告するのが妥当かと思います。
もちろん酸の種類(乳酸、酢酸等)と量を測定する設備をもっている事業者なら、それらを測定するでしょう。しかし、そういう設備がある事業者は限られていますので、簡易的に判断することになるでしょう。