ポイント解説

土地賃貸借契約書


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・設例は、「借地権設定契約書1」と同趣旨であるが、建物譲渡後、建物の賃貸をしない場合。

(第1条)
目的土地の表示は、賃貸目的物が明確になるよう登記簿謄本を参照するなどして、正確に記載する。賃貸部分が一部であるときは、どの部分であるのかを方位、面積などで明らかにし、必要に応じて図面等を使って具体的に記載する。

(第2条)
使用目的を明確にしておく。

(第3条)
建物譲渡特約により借地権を消滅させることができるのは、設定後30年以上を経過した日。

(第4条)
譲渡の対象となる建物を明らかにしておく。

(第5条)
借地権設定後30年以上を経過した後のものでなければ、建物譲渡特約による借地権の消滅は認められない(借地借家法第23条)。
譲渡価格決定の基準、方法を明確にしておく。

(第6条)
賃貸人の権利を確保するため、仮登記をするとよい。

(第7条)
賃料の額、支払方法を明確にする。賃料は、特約がなければ後払いとなる(民法第614条)。
賃料の増額請求についても、確認しておく(借地借家法第11条)。

(第8条)
無断譲渡・転貸は禁止されているが(民法第612条)、事前の書面による承諾とする点が特約。
無断増改築を禁止するには、特約が必要となる。

(第9条)
契約解除事由も明確にしておく。当事者一方の債務履行遅滞による契約解除は、相当の期間を定めてその履行を催告したのちでないと認められないが、このように催告なくして、直ちに契約を解除できる点が特約(民法第541条)。

(第10条)
解除等による明渡しの条件・方法および残置物の処理について明確にしておく。

(第11条)
設定後30年以上経過した日の建物譲渡により、借地権を消滅させることができる。
建物譲渡後、賃借人との間で期間の定めのない建物賃貸借がなされたものとみなされることもあるが(借地借家法第23条2項)、そうでない場合、譲渡代金の支払いと、建物の引渡し・移転登記、土地の明渡しは、同時履行の関係となる。

(第12条)
借地上の建物の賃借人が、借地権の存続期間が満了することをその1年前までに知らなかった場合は、建物の賃借人がこれを知った日から1年を超えない範囲内で明渡しを猶予されることがある(借地借家法第35条)。

(第13条)
契約終了後明渡し済みまでの損害金は、特約がなければ最終賃料が基準となる。

(第14条)
強制執行認諾文言付の公正証書がある場合には、裁判をすることなく差押えなどの強制執行ができる。